ドキュメント
Kepra
回路から再構築したリズム音源
概要
Kepra は、日本の往年のプログラマブル・リズムマシンを解析して作ったリズム音源です。録音した音を鳴らすのではなく、元のアナログ回路を解析し、波形を実測して、各楽器の鳴り方そのものをソフトウェアで作り直しています。
楽器は 12 — バスドラム、クリック、スネア、クラップ、シェイカ、ロウ / ミッド / ハイタム、クローズ / オープンハイハット、メトロノーム、シンバル。16 ステップのシーケンサーを内蔵し、8 つのバンク、ノート / フラム / アクセントの 3 つのレイヤー、長さを変えられるパターンを持ちます。
クイックスタート
動作環境
- macOS Intel は 10.15 以降、Apple Silicon は 11.0 以降。スタンドアロン・AU・VST3
- Windows 10(64 ビット)以降。VST3 のみ(スタンドアロン版はありません)
インストール
| 形式 | macOS の置き場所 |
|---|---|
| AU | ~/Library/Audio/Plug-Ins/Components に Kepra.component |
| VST3 | ~/Library/Audio/Plug-Ins/VST3 に Kepra.vst3 |
| スタンドアロン | /Applications に Kepra.app |
Windows では Kepra.vst3 フォルダごと C:\Program Files\Common Files\VST3\ にコピーします。この版は署名していないため、初回に SmartScreen の警告が出ることがあります。インストールしたら DAW を再起動するか、プラグインを再スキャンしてください。
スタンドアロンで音を出す
- アプリを開きます。
- メニューバーの Preferences(⌘,)で、オーディオ出力を選びます。MIDI キーボードや外部の MIDI クロックを使うときは、MIDI 入力デバイスも選びます(最初は「なし」になっています)。
- パッドをクリックすると、その楽器が鳴ります。スタート / ストップでシーケンサーが動きます。MIDI 機器が無くても演奏できます。
スタンドアロンでは、アプリを終了すると、打ち込んだパターンと音作りは残りません。 DAW で使うときはプロジェクトに保存されます。
スタンドアロンで作ったパターンを残すには、MIDI ファイルとして書き出してください(下の「パターンを MIDI で書き出す」)。ただし、書き出したファイルを Kepra に読み込み直すことはできません。
はじめの一音
- 楽器パッドでバスドラムを選び、ステップボタンの 1、5、9、13 を押します。
- スタート / ストップを押すと鳴り始めます。テンポのつまみで速さを変えます。
- 別のパッドを選んで、スネアやハイハットを重ねていきます。
パネルの区画
各区画をクリックすると、その説明に移ります。

ボイス
楽器の音を作るフェーダーです。3 つのタムはまとめて調律され、互いの音程差は保たれます。クローズハイハットは短いまま、オープンハイハットの長さだけが変わります。
全体のキャラクタ
複数の楽器が共有している部分を、まとめて変えるつまみです。スネア、クラップ、ハイハット、シンバルは同じノイズ源から、ハイハットとシンバルは同じ金属的な鳴りから作られています。
ミキサー
楽器ごとの定位と音量です。
出力
ミックス全体の歪み・明るさ・音量です。クリップランプが点いたら、出力段の余裕が無くなっています。
シーケンサー
打ち込み
- 楽器パッドを押すと、その楽器が鳴り、ステップボタンで編集する楽器に選ばれます。
- INST / FLAM / ACC. で、ステップボタンが書き込むレイヤーを選びます。INST は音そのもの、FLAM は 2 打に分けて鳴らすフラム、ACC. はアクセントです。
- ステップボタンで 16 ステップを打ち込みます。
フラムの 2 打の間隔は、「全体のキャラクタ」のフラムのつまみで、全楽器まとめて変えます。
パターンの長さとバンク
- LEN. を押してからステップボタンを押すと、そのバンクが何ステップで繰り返すかが決まります。押している間、液晶の LENGTH の表示が SET LEN に変わります。
- バンクは 8 つ。▼ / ▲ の 2 つのボタンで切り替えます(▼ が前、▲ が次)。このボタンに文字は書かれていません。再生中は、小節の頭で切り替わります。
- CLR / COPY / PASTE は、いま選んでいる楽器のパターンだけに効きます。COPY したものを、別のバンクや別の楽器に PASTE できます。
液晶表示
テンポと、BANK(バンク)、LENGTH(パターンの長さ)、INST(選んでいる楽器)を表示します。LENGTH は、LEN. を押している間だけ SET LEN に変わります。
液晶の INST は選んでいる楽器の番号です。レイヤーを選ぶ INST ボタンとは別のものです。
パッド、再生、テンポ
クロックのスイッチが INT のとき、シーケンサーはテンポのつまみの速さ(40-240 BPM)で動きます。EXT にすると、受信した MIDI クロックに合わせて進み、液晶表示にそのテンポが出ます。テンポランプは 4 分音符ごとに点滅します。
パターンを MIDI で書き出す
液晶表示を DAW のトラックや Finder にドラッグすると、いま選んでいるバンクの 1 小節が MIDI ファイルになります。≡ → 設定 → Export Current Pattern as Standard MIDI… でも書き出せます。
- MIDI チャンネル 10、シーケンサーのテンポで書き出します
- アクセントのステップはベロシティ 127、それ以外は 99
- フラムのステップは、その楽器のノートの 1 オクターブ上に書きます
ドラッグで書き出すファイルは、いったん ~/Library/Application Support/Hugelton/Kepra/Export に作られます。
メニュー
メニューと製品情報
フェイスプレートのメニューボタンを押すと、メニューが開きます。フェイスプレートに印刷されたロゴをクリックすると、製品情報が開きます。
- 〈製品名〉について… — バージョンと著作権表示
- 設定 — 製品ごとの設定(下の「設定」を参照)
- ウィンドウ倍率 — 75% / 100% / 125% / 150%
- 言語 — 自動 / English / 日本語(日本語を表示できるフォントがある環境のみ)
ヘルプとツールチップ
部品にポインタを重ねると、その近くに名前と今の状態が、画面下端の帯にその部品が何をするかが表示されます。パッドやステップボタン、ランプにも出ます。
設定(≡ → 設定)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| DAW Transport | Manual(パネルのスタート / ストップで動かす)か Follow(DAW の再生・停止に従う) |
| MIDI Transport | Clock Only(MIDI クロックの速さだけ使う)か Follow(MIDI の Start / Continue / Stop でも動く) |
| MIDI Clock | MIDI クロックを受信しているか(Receiving / Waiting)の表示 |
| Export Current Pattern as Standard MIDI… | 上の「パターンを MIDI で書き出す」 |
Kepra にはプリセットがありません。音とパターンは DAW のプロジェクトに保存されます。
MIDI
ノート
どのチャンネルでも受けます。ベロシティは音に反映されます。
| ノート | 楽器 | ノート | 楽器 |
|---|---|---|---|
| 36 | バスドラム | 42 | クローズハイハット |
| 37 | クリック | 43 | ミッドタム |
| 38 | スネア | 44 | オープンハイハット |
| 39 | クラップ | 45 | ハイタム |
| 40 | シェイカ | 46 | メトロノーム |
| 41 | ロウタム | 47 | シンバル |
ノート 48〜59 は、それぞれ 1 オクターブ下の楽器のフラム版を鳴らします。
コントロールチェンジ
| CC | パラメーター | CC | パラメーター |
|---|---|---|---|
| 7 | Master Volume | 24 | Toms Decay |
| 16 | Global Flam Rate | 25 | Claps Tone |
| 17 | Global Pink Noise | 26 | Claps Decay |
| 18 | Global Ring Frequency | 27 | Hi-Hat Ring |
| 19 | Bass Drum Pitch | 28 | Hi-Hat Decay |
| 20 | Bass Drum Decay | 29 | Cymbal Ring |
| 21 | Snare Drum Snap | 30 | Cymbal Decay |
| 22 | Snare Drum Decay | 31 | Master Drive |
| 23 | Toms Pitch | 71 | Master Tone |
値は 0-127 でパラメーターの全域に対応します。MIDI コントローラーで動かした値は、パネルには反映されますが、DAW のオートメーションには書き込まれません。ほかのパラメーターは、DAW の MIDI ラーンで割り当ててください。
クロックとトランスポート
クロックのスイッチが EXT のとき、MIDI クロック(F8、4 分音符あたり 24 パルス)で進みます。≡ → 設定 → MIDI Transport が Follow なら、Start / Continue / Stop(FA / FB / FC)でシーケンサーが動きます。Kepra は MIDI を送信しません。
トラブルシューティング
スタート / ストップを押しても動かない クロックのスイッチが EXT になっていないか確認してください。EXT では MIDI クロックが来るまで進みません。≡ → 設定 → MIDI Clock で受信しているかどうかが分かります。
DAW で再生しても Kepra が動かない ≡ → 設定 → DAW Transport を Follow にしてください。Manual のときは、パネルのスタート / ストップで動かします。
スタンドアロンを閉じたらパターンが消えた スタンドアロンは、終了時にパターンを残しません。残したいパターンは、閉じる前に MIDI ファイルとして書き出してください。
Kepra が DAW に出てこない 置き場所を確認して、DAW を再起動するかプラグインを再スキャンしてください。
変更履歴
1.3.0 — 2026-09-08
Hügelton の共通ライブラリに載せ替えました。窓、ヘルプ、メニューが、ほかの Hügelton の楽器と同じように振る舞います。音、パラメーター、MIDI CC の割り当て、シーケンサーのパターン形式は変わっていません。1.x で保存したセッションはそのまま開けます。
- ≡ メニュー。 フェイスプレート右上、CONFIG のあった場所のボタンが、Hügelton 共通のメニューを開きます。About、設定、ウィンドウの大きさ、言語です。Kepra にはプリセットがありません(音はパターンそのもので、パターンはセッションに属します)。そのためヘッダーの帯が無く、窓は絵とヘルプ行だけです。
- パターンを MIDI で書き出せます。 LCD を DAW のトラックや Finder のウィンドウにドラッグするか、≡ メニューの 設定 ▸ 現在のパターンを SMF で書き出し… を使います。選択中のバンク 1 小節分を、シーケンサーのテンポ、MIDI チャンネル 10 で書き出します。アクセントはベロシティに、フラムは 1 オクターブ上に置かれます。
- トランスポートの設定が移動しました。 DAW トランスポート、MIDI トランスポート、MIDI クロックの表示は ≡ メニューの 設定 ▸ の中です。働きは同じです。
- パネルの下にヘルプ行。 つまみやボタンにポインタを乗せると、それが何をするかを一文で表示します。日本語の書体がある環境では日本語で出ます。
- 吹き出しが使えるようになりました。 1.2.1 では、動かすと残像が残るため無効にして出荷していました。共通の吹き出しは画面全体を描き直すので、残像が出ません。
- 窓が 100% で開きます。 ≡ メニューで 75 / 100 / 125 / 150% を選べます。1.2.1 は 85% で開き、42.5% と 85% しか選べませんでした。選んだ大きさはセッションと一緒に保存されます。新しく挿したものは 100% で開きます。
- About。 ≡ メニューからも、フェイスプレートに印刷されたロゴからも開きます。外側をクリックすると閉じます。
- 言語。 ≡ メニューで 自動 / English / 日本語。日本語を描ける書体がある環境で出ます。この設定はセッションごとではなく、Hügelton の全製品で共有されます。
- ライセンス認証がなくなりました。 Kepra は認証クライアントを持たなくなりました。itch.io での購入だけが窓口で、ディスクに何も書かず、どこにも送らず、台数の制限もありません。
- スタンドアロンが、AU と VST3 と並んで出荷物に戻りました。
- ドラッグ用に用意されるパターンの MIDI ファイルは、システムの一時フォルダではなく
~/Library/Application Support/Hugelton/Kepra/Exportに置かれます。
1.2.1 — 2026
MIDI のトランスポート追従を MIDI クロックから分離しました。
1.0.0 F から 1.2.1 までは itch.io で、それぞれの変更履歴を伴わずに出荷されました。下の 2 行は installer/changelog.txt に残っていたものです。
1.0.0 F — 2026-07-02
シーケンサーを内蔵し、LCD を作り直したベータ版。
0.1.0 — 2026-06-26
初版。
利用条件
本ソフトウェアと、同梱されるプリセット、画像、音、書体、文書を含む一切のアセットは、Hügelton Instruments の著作物です。著作権は Hügelton Instruments に帰属し、オープンソースではありません。
購入した方、およびベータテストに参加した方には、本ソフトウェアを自分の機材にインストールして使用する、譲渡できない個人の権利が与えられます。与えられるのはそれだけです。
次のことを固く禁じます。
- リバースエンジニアリング、逆コンパイル、逆アセンブル、解析
- 再配布。有償・無償、全部・一部を問いません
- 転売、貸与、譲渡
- 同梱のアセット(画像、音、プリセット、書体、文書)を取り出して、本ソフトウェアの外で使うこと
- 認証や保護のしくみを回避すること
本ソフトウェアは、いまの状態のままお渡しします。動作や結果についての保証はありません。